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2018/12/13

わが家のアレルギー治療について書いていただきました-毎日新聞(2018/12/8)




わが家の治療について書いていただきました。

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小児アレルギー疾患の治療はこの10年で大きく変わり、現在高3の娘も“命を守るため”にその時々で最善の医療を求めてきました。アレルギーのことをよく勉強してくださっている記者さんが、とても上手にまとめてくださっています。

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「変わる食物アレルギー対応/中 
食べる治療で安全模索」

2018年12月8日 毎日新聞
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 それは2010年、旅行先で夕食を取り、くつろいでいた時のことだった。東京都の会社員、ゆう子さん(48)の当時10歳の次女、凜(りん)さん=いずれも仮名=は、シャーベットを食べ終えた頃からいつもと違うせきを始めた。重いアレルギーのある卵や乳製品の入っていないシャーベットを注文したのに、調理場で盛り付け用スプーンの洗い方が悪く、長女の頼んだアイスクリームの乳成分などがついたらしい。血の気が引いた。

●命を守るため

 救急車を頼み、緊急注射薬・エピぺンを握りしめ、数十分の間、症状が進まないことを祈るしかなかった。顔も 腫れ上がった凜さんは救急病院で処置を受けて回復したが、「微量の混入にもおびえずに生活したい」、痛切にそう思った。折しも、アレルギーの原因食物を病院で摂取する「経口免疫療法」が話題になっていた。その治験に参加することを決意した 。
 
 経口免疫療法は口から継続的に取り込んだ食物に対しては体に耐性ができる働きがあることを応用し、既にアレルギーを引き起こしている食物を専門医の管理下で摂取して反応を抑えようというものだ。国内では07年の学会発表から注目された。その方法は、外来や入院で少しずつ摂取量を増やす「緩徐法」と、本人がアレルギー症状を起こす量以上まで入院して一気に増量する「急速法」に大別される。当時は1週間程度の入院中に凜さんと同様の重症児が牛乳をゴクゴクと飲む姿がメディアでも取り上げられ、「急速法」に注目が集まっていた。

 凜さんが食物アレルギーと分かったのは生後4ヶ月。6歳の時には当時の主治医に「一生除去ですね」と言われ、ゆう子さんはショックを受けた。経口免疫療法を受けるのは「命を守るため。牛乳をたくさん飲めるようになってほしいのではなく、もう危険な目に遭わせたくない」とゆう子さん。一方で、諦めていた心に「もしかして治るかも」と初めて希望の光が差した。「本当にうれしかった」と振り返る。

 凛さんは、入院して牛乳の「急速法」の治療を受けた。当時その病院では少量から始めて1日2回摂取し、せきなどの症状が出たら治療して、医師が状況を見ながら増量。4日目には重い症状を起こさず200㏄飲めた。まさに「魔法のよう」だった。

●呼吸困難に陥り

 だが、その先の現実は厳しかった。この治療法では、退院後も医師の指示通りに一定量を量って摂取を続ける必要があり、時にはそれが数年に及ぶ。日常生活で卵や牛乳を食べるのとはまったく違った。当時は、自宅で毎日、相当な量を取り続けるよう指導され、この「維持期間」中、重い症状が出ることもあった。しかも、食物アレルギーの対応の基本が原因食物を避けることには変わりがなく、患者は原因食物を治療として取りながらも、食事には入らないよう注意して除去し続けなければいけない。また、せっかく口にする機会ができても、幼い時から危険と言われ、食べると具合が悪くなる食物を「おいしい」と思えないというのもよくある悩みだ。

 凛さんも維持期間中、かゆみやせきなどに何度も襲われた。それでも「治りたい」と連日200㏄を飲んだ。だが、退院から4カ月後、飲んだ後に息ができなくなった。「苦しい。ママ、助けて」。エピペンを打って回復したが、これを境に牛乳を口にするのが気持ちの上で難しくなり、何とか1㏄だけは取り続けた。

 昨年、牛乳の経口免疫療法を受けていた子どもの呼吸が止まり、低酸素脳症に陥ったことが明らかになったが、これも「急速法」後の維持期間中だった。これを受けて日本小児アレルギー学会は診療ガイドラインの注意点を再確認するよう、関係者に注意を呼びかけた。ガイドラインは、経口免疫療法は専門医が臨床研究として慎重に行うべきで、一般診療として推奨しないことなどを挙げている。経口免疫療法の実施例は現在までに全国で約1万に達するとみられるが、現時点で「急速法」を行っている病院は激減したと考えられる。

●少量でも耐性つく

 先進的な専門施設の多くは、これ以前から「緩徐法」にかじを切っている。国立病院機構相模原病院では13年に重症例に対して「急速法」を中止し、「少量導入療法」を始めた。海老澤元宏・アレルギー性疾患研究部長によると、従来の100分の1などごく少量から始め、非常にゆっくり増量していくという。国立成育医療研究センターでは「緩徐法」を導入した03年から、安全性を主眼に模索を続け、少量で苦痛を与えない方法を取っている。

 こうした変化は、経口免疫療法の実施データが積み重なるにつれ、▽短期間に摂取量を大幅に増やす方法では重い症状が出やすく、事故の危険が伴う上、続けられなくなる患者が続出する▽少量を摂取し続けるだけでも耐性が上がる--と分かってきたことが背景にある。

 国立成育医療研究センターの大矢幸弘・アレルギーセンター長は「おいしい、食べたいと思えなければ、食べ物の持つ重要な機能の一つが果たせない。無理やり食べさせたり、頑張って食べたりするのではなく、楽しく食べられる方法を探さなければ」と話す。
 
 経口免疫療法が日本で始まってまだ10年あまり。標準的な方法は確立していない。この治療を受け、その後も定期的に一定量食べていればかなりの割合で症状は改善されるが、完治は難しい場合もある。それでも、患者の生活が大きく変わるのは事実だ。相模原病院の海老澤医師は「牛乳を3cc飲めなかった子が、1年後には例えば大さじ数杯取れるようになる。おびえながら生活している状態から解き放ってあげられる。経口免疫療法は今後も重要だと思っている」と力説する。

 凛さんは高校3年生になった。その後、緩徐法で卵、小麦の免疫療法を受けて改善し、牛乳とナッツの治療中だ。昨年は海外への修学旅行にも参加した。「小学生の頃は、大人になった時の生活が想像できず不安だった。でも食べる治療を始めて変わった。アレルギーを理由に物事を諦めたくない」。今、看護師をめざしている。



<経口免疫療法の注意点>
・食物アレルギー診療を熟知した専門医が実施
・対象者は①食物負荷試験で食物アレルギーと診断された②自然には早期に症状が改善できない--の条件を満たす患者
・治療を中断すると、治療前の状態に戻ったり、摂取後の運動で症状が出たりすることがある
・治療終了後に再び症状が引き起こされる例もあるため、終了後も経過観察が必要
(日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」を基に作成)

わが家のアレルギーいろいろ