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2018/10/16

経口免疫療法 “見せかけのちから” と “本当のちから”



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昨年11月に起こった、経口免疫療法の有害事象から1年がたとうとしています。同じアレルギーっこを持つ親として、ほんとうに胸が苦しくなります。わたしは毎年アレルギー学会に参加していますが、治療法はより安全な方向にシフトしているように感じます。

それは、消極的な意味あいだけではなく、症状を出さずに安全に食べていくことが“見せかけのちから”ではない、“本当のちから”を作っていくということがだんだんわかってきていることも関係しているとおもいます。


娘が通院している国立成育医療研究センターのホームページで、このことについて詳しく書かれたページがあります。いま、あらためてここでご紹介したいとおもいます。
※青字部分には、ゆうこりんのコメントを入れました。


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国立成育医療研究センターHPより
~アレルギー科を通院中の患者さん・ご家族の皆様へ~
 ←クリックすると飛びます

今般、国内施設において牛乳に対する急速経口免疫療法を受けた患者さんに重篤な有害事象が発生し、各社報道機関を通じ報告がなされました。この報道以降、当科外来でこの事象に関するご質問が多くございますので、現在当科で行われている方法がなぜ安全性が高いのかを説明させていただきます。

■本有害事象が発生した急速免疫療法について

本有害事象に関する詳細はすでに当該施設のWebサイトで発表されておりますが、「牛乳に対する急速経口免疫療法を受け、維持期に脱感作状態(原因食物を摂取し続けていれば症状が現れない状態)に到達していた児が自宅で維持量を摂取後に、重篤な呼吸器症状を呈し、低酸素脳症に至った事象」というものです。

■当科で行われている経口免疫療法について

当科では、患者さんの安全を第一に考慮し、効果の期待できる最小の維持量による経口免疫療法を行っています。今回の事象が起こった急速免疫療法ではありません。

<どこが違うの?>

これまで多くの施設で研究的に行われていた経口免疫療法は、自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して、事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値を確認した後に 原因食物を医師の指導のもとで経口摂取させ、閾値上昇または脱感作状態とした上で、究極的には耐性獲得を目指す治療法(食物アレルギー診療ガイドラインより) を指します(図1)。

しかしこの方法では、アレルギーの原因食物を摂取し続けていれば閾値を超えた量を摂取しても症状が現れないという「脱感作状態」にあるだけであって、途中で治療摂取を中断すると症状誘発の量が元に戻ってしまったり、体調不良・摂取後の運動により症状が誘発されたりすることがあり、大変危険を伴う場合があります(下図の2)。 



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(ゆうこりん追記)
上の説明はちょっと難しいですね。図の中の言葉がとてもわかりやすいです。

負荷試験で陽性となった量以上を摂取しても、毎日摂取し続けると症状が現れず、あたかも治ったかのような“見せかけ”のちからがつきます。これを「脱感作状態」といいます。(図1)

かつて娘も、研究治療で閾値を超えた量を毎日摂取する経口免疫療法をしていましたが、200ccもの牛乳が飲めるように見えていたのは“見せかけのちから”でした。毎日アレルゲンを摂取し続けていれば、閾値を超えた量を摂取しても症状が現れないという「脱感作状態」にあるだけだったのです。

でも、この方法は、(図2)にもあるとおり“本当のちから”ではないので、数日でも摂取しないと症状が出たり、スレスレで持ちこたえているので、摂取後に運動をしたり、体調不良や風邪などで、大きな症状がどーんと出てしまうことがしばしばありました。
そうして大きな症状を何度も経験するうちに、娘は強い恐怖心でメンタルにも影響が出てしまいました。。。



<どうすればより安全に出来るの?>

実は、アレルギーの原因食物を摂取することでつく“本当のちから”は、閾値を超えて摂取し続ける場合と、もっとよりずっと少ない量で摂取し続ける場合とで、さほど差がないことが近年の研究で分かってきました(図3)。

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(ゆうこりん追記) 
ぬぉぅーーー!
さらっと書かれていますが、これってすごいことだと思いませんか。
今までのように、閾値を超えてぎりぎりのラインで症状を出しながらやらなくても、微量を摂っていれば同じ効果が得られるんですよ~!




そこで当科では、事前の食物経口負荷試験を行い、
増量期にも維持期にも、体調や生活スタイルに関わらず“副反応ゼロ”を目指し、
きちんと用量設定を行った上で、ごく微量からゆっくり増量したのち、少量維持療法による個別化治療に取り組んでいます。

体調不良などにかかわらず症状の出ない、安全な量を維持することで、“本当のちから”がつくのです。
また、定期的に食物負荷試験を行い再評価もしています。1年後に負荷試験を行ったら、「以前陽性だった量が摂取できました!」という症例も。
※青字部分、(図3)より ゆうこりん追記


もちろん、安全性を担保するため症状誘発に備えた緊急時対策(エピペン®を含む)や注意事項を十分に説明させていただき、ご納得いただいたうえで治療を開始します。


■喘息とアトピー性皮膚炎のコントロールも重要!  ←このタイトルは、ゆうこりん追記

また、不安定な喘息コントロール状態は致死的アナフィラキシーの重要な要因であることが知られています。
アトピー性皮膚炎も影響があり、皮膚状態が悪いと皮膚から感作を受けやすくなりIgE抗体価が下がりにくくなります。
ですから、皮膚の治療も徹底して、皮疹ゼロ、痒みゼロを目指すことも大切です。

経口免疫療法に限らず、食物アレルギー全般のために良好な喘息と皮膚炎のコントロールを目指しましょう。
平成29年11月 アレルギー科医長 大矢幸弘


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(ゆうこりん追記) 
ここです、ここです!
食べることだけに一生懸命になるのではなく、喘息やアトピー治療を(鼻炎や眼の治療も)徹底的にすると、体が治る方に向いていくのですね~。

ごく微量から増量して少量を維持する方法について、ここまでわかりやすく書かれたものは初めてではないでしょうか。
経口免疫療法はまだまだ研究段階の治療法ですから、各病院でやり方はさまざまです。いまわが子が受けている治療に納得のうえで進めていきたいですね。


免疫療法(新聞・テレビ・講演)